我々の先祖は昔から、病気になった時に眼に現れる色々な変化を経験的に発見してきました。多くの伝統医学では、人体の臓器の状態が眼、耳、手のひら、足の裏などに投影されるという経験則に基づき診断・治療を行ってきました。

 人体の状態が五感、即ち、触覚、視覚、聴覚、臭覚、味覚をつかさどる器官に表われる時、それはどんな形で表われるのか昔から研究され続けてきました。

 Shin Si Maioという中国人医師が紀元7世紀に、臓器の状態が耳に投影されるという事実を初めて主張しました。その後、19−20世紀にはM. Nechaev(1835)、G. A. Zaharin(1885)、J. Peczeli(1880)、H. Head(1898)P. Bonnier(1912)らが舌、虹彩、皮膚、鼻にも臓器の状態が投影されるという事実を研究し、発表しました。それ以前でも13世紀にわたり様々な国で−中国、ロシア、ハンガリー、 イギリス、フランスなど−、多くの学者達が個別に色々な方法で研究を重ね、同様な結論を得てきました。即ち、全ての臓器の状態は外部の特定部分に投影され、それは一ヶ所だけではなく様々な所に表われるというものでした。また、その表われ方は両方向( Bi-Directional )であるという重要な事実を発見しました。両方向に表われるとは、臓器の状態が人体の一部分に表われるだけでなく、人体の特定部分の刺激が臓器にも影響を与えるということです。

 臓器の状態が耳、舌、皮膚、鼻に投影されるという事実は、未だ医学的には明確にはされませんでしたが、虹彩 に関しては医学的に解明されています。

 例えば人体のある臓器に炎症ができた場合、それに対抗するため臓器はより多くのエネルギーが必要になります。この信号が脳から視神経を通 して虹彩に伝達されます。信号を受けた虹彩では、より多くのエネルギーを外部から取り入れようとし、該当部位 の組織が弛緩します。この弛緩した組織による変化が眼に表われることになります。

 腫瘍ができた場合には、反対にエネルギーが入ってこないように人体は反応するようになります。腫瘍の場合は外部からエネルギーが入ってこられないようにするために、虹彩 の該当部位の組織がより一層細かく凝集され、濃厚な色素ができます。このような色素や緻密な組織が虹彩 に変化をもたらします。

 こうした過程を経て臓器の状態が虹彩に表われるようになります。虹彩 の変化の観察が、病気の診断に役立つことになります。このような診断方法を虹彩 診断学と言います。そして、特定の波長の光を虹彩の該当部位 に照らせば、部位に対応した臓器に刺激を与え、病気の治療に活用できます。このような治療方法を虹彩 色素治療法( Iris Color Theraphy )と言います。
 図1は臓器と虹彩との関連を表しています。


図1:臓器と虹彩との関連