19−20世紀中盤以降、一層多くの人達がさまざまな病気について、発症する時の虹彩 の状態を研究するようになりました。

 こうした研究者たちの中で虹彩診断において注目すべき結果 を発表した人物としては、E. Schlegel(1887)、A. Lindlar(1919)、P. Thiel(1921)、M. Madaus(1926)、K. Baumhauer(1927)、D. Wirs(1927)、K. Schulte(1938)、L. Vannier(1951)、A. Maubach(1952)、 J. Angerer(1953)、F. Vida(1954)が挙げられます。

 中でも特にドイツのA. Mullerは、当時、重大な病気である結核が虹彩 にどのように表われるのか1907年に発表し、医学界の大きな注目を浴びました。

 1959年、有名なドイツの学者R. Schnabelは、虹彩学に関する2冊の本を編纂した実績でロンドンアカデミー賞を受賞しています。現在この本は、虹彩 学を研究する機関の教科書にもなっています。

 R. Schnabelは、特に病気が進行中の時は増大し、完治された時には消えてゆく虹彩 の変化に関して多くの臨床研究を実施し、虹彩の構造及び色素変異に関する多くの研究結果 を得ました。彼は90種類の色素、虹彩繊維質構造の60種類の変化、虹彩 にできる30種類の小窩(陥没した形態の穴)、28種類の瞳孔周辺色素の変異、14種類の虹彩 外郭部分にできるリング状の模様などについて記述しています。

 R. Schnabelはそれまでの研究成果をパターン化し、J. Peczliの研究実績を大きく発展させたといえます。 1950年代に入ってからは理論的虹彩 学から、多くの臨床結果に基づいた臨床虹彩学へと移っていきました。欧州とアメリカ、アルゼンチン、カナダに虹彩 診断学の基礎を研究する学校やセンターができ始めたのもこの頃からです。

 虹彩診断学は特別科目として一部の医学大学のプログラムに加えられたり、医師たちのセミナープログラムにも含まれるようになり始めました。

 今日、虹彩診断学はドイツ、アメリカ、ロシア、イタリア等で最も活発に研究されています。

 ドイツは虹彩診断学において、最も古い歴史と権威を誇っています。

 1880年代に、J. Peczeli理論の継承者であったE. Schlegelの尽力により、多くの医師たちと自然療法師たちが虹彩 診断学を支持しています。20世紀中頃には、約7千名の専門家たちによって構成されたドイツの虹彩 学者の組織が結成されました。 その中でJ. Deckが率いるシュトゥットガルトのセンターと、J. Angererが所長を務めるミュンヘンのセンターで活発な研究が展開されました。

 J. Deckは1991年まで40年余り虹彩学を教えただけでなく、虹彩 診断を利用した病気治療に没頭しました。J. Deckは虹彩 の形態を利用し、初めて人間の遺伝的体質を12種類の形態に分類し、多くの関心を呼び起こしました。虹彩 による体質分類は、東洋医学の体質分類とは全く異なる方法により形成されましたが、両者には多くの共通 点があります。

 アメリカの虹彩診断学は、自然療法治療に関するシカゴのLindlara研究所の創立者であるLindlar博士により、大きく発展しました。Lindlara研究所出身の虹彩 学者B. Jensen博士は、アメリカの虹彩学を大きく発展させ、アメリカ虹彩 学の創始者と言えます。1951年B. Jensenの発案によって、虹彩 学者たちの国際協会(FIA)が結成され、以後40年間B. Jensen博士がFIA議長として多くの研究を行なってきました。彼は特に虹彩 診断学分野において、虹彩の形態と遺伝的形質との関係を明らかにする多くの研究に携わりました。こうした研究によりB. Jensen博士は虹彩を鏡に比喩し、虹彩診断法により臓器の構造的な変化と、遺伝的特質から発症する可能性のあるさまざまな病気を予測し予防できると発表し、多くの関心を集めました。

 ロシアでは1963年から神経病専門医 E. S. Velhoverと、外科医師P. N. Romashovにより、虹彩診断学が研究されるようになりました。

 1977年から P. N. Romashov博士とE. S. Velhover博士が虹彩 診断研究所を設立し、臨床研究による虹彩診断学を専門的に研究しました。

 特に、胃炎、胆嚢炎、肝炎、胃癌、肝臓結石疾患、十二指腸の膨張部位 癌変形、肝硬変時の高血圧、心臓疾患などさまざまな疾患について、虹彩 診断によって優れた診断ができるという事実が認められ、多くの患者たちの治療に活用されることになります。

 現在、虹彩診断分野では約35種類の虹彩図表が診断に活用されており、今後もさらに研究が進められ、虹彩 診断学は21世紀の新しい予防診断分野として大きな役割を果 たすことになるでしょう。